一九三二(昭和 ( しょうわ )七)年 ( ねん )になると、高島屋 ( たかしまや )が「一〇銭 ( せん )ストア」を全国 ( ぜんこく )展開 ( てんかい )した。最盛期 ( さいせいき )には一〇六店舗 ( てんぽ )もあったというから大繁盛 ( だいはんじょう )だった。当時 ( とうじ )の一〇銭 ( せん )で買 ( か )えるものといえば、もりそば一枚 ( まい )、練 ( ね )り歯磨 ( はみが )き、化粧石鹸 ( けしょうせっけん )などだった。 今 ( いま )の感覚 ( かんかく )にすると、一〇〇円 ( えん )よりも、ちょっと高 ( たか )い気 ( き )がするが、「一〇銭 ( せん )ストア」にはフライパンやネクタイ、算盤 ( そろばん )、スリッパなどが並 ( なら )んでいたというから、お得感 ( とくかん )は十分 ( じゅうぶん )にあったようだ。 ちなみに、時代 ( じだい )とともにあらわれる価格均一 ( かかくきんいつ )ショップだが、どのケースもデフレ時代 ( じだい )に出現 ( しゅつげん )しているという。そして、景気 ( けいき )がよくなると高価 ( こうか )なものがもてはやされるので、廃 ( すた )れてしまう傾向 ( けいこう )があるという。