忘れていた都合の悪い記憶を発掘され、紅深は衝撃に真っ白になった。舜と奇雪は必死で吹きだすのをこらえた
見事な後退だな。今では友人未満だ
輝輝が兄を見ると、滅多に拝めない得意げな表情をしていた。ふっという笑声さえ聞こえそうな勝利者の微笑だった
負けた、と輝輝は思った。やはりと思ったがやはりそうだった。どう考えてもこの兄を押しのけて他に秀秀の初恋の人になりうる男など
しかし秀秀はもだ首を捻っていた。
“・・・うーん、でも何だか、忘れてる記憶がある気がするんですけど”