政策活動に際しては、資源、労働力、そして市場を経済的に支配することが原動力となる。さらに、植民地主義を正当化するのは、植民者が被植民者より優れており、また、植民地支配はその近代化に必須の経済基盤・政治基盤を発展させることに繋がるので、被植民者にとって利益になるのだという考え方である。
アンドレ・グンダー・フランクの植民地主義によって被植民者から富の収奪が行われ、経済発展を阻害したというような主張のみならず、ポストコロニアリズムの思想家であるフランツ・ファノン等の政治的・心理的・道徳的ダメージをも加えたという主張がある。
現在も手を変え品を変えた形で植民地支配を脱した国々への支配が継続しているという見方も存在する。
どうして日本は、アメリカを相手に戦争を始めてしまったのか。戦後60年をへて、今なお特定の近隣諸国からは「謝罪と賠償」を求められ、国内でも「東京裁判史観」「自虐史観」「自由主義史観」などさまざまな歴史観によって評価の定まることのない、太平洋戦争。ナチス・ドイツと連合国軍とが戦った戦争とあわせて、ひとくくりに「第二次世界大戦」と呼ばれるが、ナチス・ドイツの戦争が「ヨーロッパの内戦」と言われるのに対して、日本が世界を相手に戦った戦争は、異なった人種・文明の激突という視点から見ると、まったく違った意味合いを持っている。
こうした視点に立ち、殖民主義を掲げて日本人の前に立ちはだかった欧米人と、その圧力の前に日本人が「どういう心理で」立ち向かおうとしたかを、秀吉の時代にまでさかのぼって検証していく。個人的には、秀吉がキリスト教を禁止し、宣教師を処刑・国外に追放した背景に「日本人を奴隷として売買した」ことがあったという史実があると知ったことが、驚きだった。歴史の中での心理的反応という観点から、戦争に至った経緯を読み解いているので、全体的な流れだけでなく、その時の日本人の「気持ち」が分かって面白い。
よく「虐待された子どもは、親になったら子を虐待する」連鎖があるといわれるのを思い出した。さて、現代の私たちもまたその連鎖の中にいるのか、どうか。